こんにちは。もう一度、こんにちは。
期間が空きましたが前回に引き続き北海道旅行の余市蒸溜所見学をレポートしていきます。
今回申し込んだのは無料のガイドツアー(70分)。
他にも有料のツアーが数件あります。
無料、有料問わず”事前予約制”なので注意!!です!!
あとこの記事も滅茶苦茶長いので注意!!です!!!
・余市駅
現在時刻 08:35です。
余市駅へは小樽始発がほとんどで、本数もそこまで多くありません。
余市蒸溜所のオープンである09:00に間に合うのは08:06→08:30の電車です。
前回の記事でも言及しましたが、見学に必要ない大荷物などがある場合は余市駅構内にコインロッカーがあるのでそこで預けていけば身軽です。
駅を出てまっすぐ正面どんつきに赤い屋根の建物が見えますがそこがニッカウヰスキー余市蒸溜所です。
途中信号の横断歩道を渡るので徒歩5、6分程度の距離で正直めちゃくちゃ近いです、けど寒いです。
交差点までワープするとこんな感じ。寒いです。
・余市蒸溜所
「予約者用」入場ゲート。
守衛さんが立っていて予約の有無を確認ののち、敷地内に案内されます。
ツアーまではまだ時間があったのですが、どうしても「鶴」が欲しかったのでツアー前に売店を見ておきたくて・・・「先に売店を見たいのですけれど……………」とコミュ障丸出しで守衛さんに申し出たら受付で入場証を貰えました。
(そんなことしなくてもグルっと大回りすれば一応無予約でも売店用入り口から侵入できます。)
・売店「NORTH-LAND」
今回ここに何度も行くことになるのですが、とりあえず1回目の訪問です。
「鶴」は・・・無し。
とりあえず欲しいものがあったので「精算だけしてまた来るので保管しておいていただけませんか………………」と陰キャ丸出しの以下省略でキープしておいてもらいました。
ありがとうございます…
・ツアー
写真左のビジターセンターからスタートします。
そこで蒸溜所の紹介映像を見たのち、敷地内を練り歩く流れです。
https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/guide/
簡潔な流れは
ビジターセンター→乾燥塔→粉砕・糖化棟
→発酵棟→蒸溜棟→混和棟→旧事務所
→リタハウス→旧竹鶴邸→1号貯蔵庫→テイスティングホール
となっていて、外観のみだったり内部まで見られる施設だったりに分かれますが、正直相当なボリュームです。
・乾燥塔
いわゆるキルンと呼ばれるものですが、現在は自社で精麦はしていないので展示のみとなっているそうです。
見学中は写真の樽の上に載っているピートのかたまりを実際に手に持って嗅いだりできます。
・粉砕・糖化棟
外観のみです。
写真には写っていませんが、ちょうど後ろのほうに大きなパイプが通っており、粉砕・糖化された麦汁が写真右側の発酵棟へと流れていきます。
で、発酵棟から地下のパイプを通って蒸溜棟へ、蒸溜が終わったら混和棟へと送られていく仕組みです。
ここのあたりの一連の流れの施設は上の地図を見ての通り密集していますね。
・蒸溜棟
ストレートヘッド型のポットスチルが7基あります。
ラインアームは下向き。
初溜釜が手前の4基、その奥に小さい初期型のポットスチル(現在は未使用)、さらにその奥に再溜釜が2基あります。
初溜釜は石炭直火加熱式、再溜釜はスチームによる間接加熱式です。
「運が良ければ石炭をくべる様子が見られますョ」と聞いていましたがちょうど見られました。
こちらにも熱気が伝わってくる直火の迫力はぜひとも一度見ておくべきです。
ちなみに、蒸溜棟にはこういうブログで記事を書くときにカンニングしやすいように余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所のポットスチルの解説が載っています。
宮城峡蒸溜所はまさしく「工場」といった趣でコンピューター管理で蒸溜のオペレーションをしているらしいのですが、余市蒸溜所は創業以来のアナログ体制を真摯に続けているそうです。
・旧事務所
また、2021年に文化庁の定める「有形文化財・重要文化財」に指定されています。
(他は「事務所棟」「蒸溜棟」「貯蔵棟」「リキュール工場」「第一乾燥塔」「第ニ乾燥塔」「研究室・居宅」「第一貯蔵庫」「第二貯蔵庫」の9施設が指定)
見学コースでは時間の都合と内部の広さの都合で外観のみの見学なのですが、
あとから自由見学のときに内部も見ることができます。
・リタハウス
かつてはブレンディングの研究施設だったのですが、近年はアフタヌーンティーを提供する場として使用されていたそうです。
耐震性の問題で現在は立ち入りができなくなっています。
ガイドのお姉さん曰く「正面と側面で印象の変わる建物」だそうで、
側面は窓が多く、写真では見づらいですが2階に障子が張られているのが見て取れます。
リタハウスに限った話ではありませんが当時では珍しかった和洋が入り混じった建築が多くみられるのも余市蒸溜所の大きな見どころだと思います。
・景色
向こうのほうは見学コースではないのでぶらぶら歩くことはできないのですが、とにかく景色が良いです。
ここがウイスキーを製造する工場とは到底思えないほど自然豊かで、清掃も行き届いています。
まぁこのあたりは見学コースの目に触れるところだからと言えばそれはそうなのかもしれませんが、オープンである9時ごろに敷地内を突っ切って売店まで歩いてた時には清掃スタッフの方々が挨拶してくれたりして頂いてうれしかったです。
・旧竹鶴邸
かつて竹鶴政孝とリタ夫妻が住んでいた住宅・・・
を余市蒸溜所内に復元したものです。
西洋建築の建物の庭先には石灯篭があるなどとここにも日本文化の意匠があります。
内部は玄関ホールのみ見学できます。
有料の「プラチナムVIPツアー」でのみ更に内部も見学できるそうです。
こういう茶器も好きなので写真に撮りました。(隙自語)
この日はまだ玄関ホールに侵入できたのですが、2023年11月末までは旧竹鶴邸玄関ホールの改修工事を行っているそうなので現在は外観のみの見学となっているそうです。
(およそ1か月間くらいなのであんまり関係ないかな…)
・貯蔵庫
見学用?の1号貯蔵庫です。
入り口に注連縄しめなわと紙垂しでが吊るしてあります。
ポットスチルでもそのふたつが飾られていたのですが、竹鶴政孝の実家が酒蔵だったことに由来しているそうです。
ここにも日本特有の文化が取り入れられているので面白いです。
中には樽が…
これ中身入ってるんですかね?(よく聞いてなかった)
原酒の色付き具合がわかるディスプレイがきれいでした(現実逃避)
ここで熟成した原酒を、千葉県の柏工場へ持っていきボトリングしています。
樽ごと持っていくわけではなく、ステンレス製か何かの入れ物に詰め替えて持っていくそうです。(そりゃそうだ)
向かい側には5号貯蔵庫が。
入り口は塞がれていますが、ここにも熟成のため眠っている原酒があるかと思うと頑張って寝てえらいね~♡などと思ってしまいます。
・テイスティングホール
ツアーの最後に試飲ができます。
ツアー自体が無料なので、なんと無料です。
試飲銘柄は「シングルモルト余市」「スーパーニッカ」「アップルワイン」の3種。
このようにおすすめの飲み方も紹介されていて飲み方には困りません。
テイスティングホール内には氷、冷水、常温水、炭酸水と一通り用意されていて各々自由な配分で飲むことができます。
「余市」はトワイスアップ、「スーパーニッカ」は水割り、「アップルワイン」はハイボールでいただきました。
いままでアップルワインは飲んだことなかったのですが、滅茶苦茶美味しいです。
試飲で一番印象に残りました。このあと売店で買いました。
で、この日はハロウィンイベントを行っていて「X(旧Twitter)のアカウントで余市蒸溜所公式アカウントをフォローしているところを係の方に見せるとくじが引けるよキャンペーン」が開催されていました。
余市のミニチュアボトルが当たりました。
先ほど売店でミニチュアボトルセットを購入していた手前、陰キャ特有の「お、おう…」みたいな微妙なリアクションをしてしまいましたが普通に大当たりです。
係のお姉さん、すみませんでした。めちゃくちゃ嬉しいです!!!!!!!!
何度も言いますが、なんと無料です。
ほか、ティスティングホールには絶版になっている超貴重なボトルからオークションでちらほら見るようなボトルまでが整然とディスプレイされています。
かつてはこれが流通してたんだよな…すごいよな…
試飲の段階になるともう自由行動なので飲んだトレイをカウンターに返却して敷地内をぶらぶらとしていきます。
・ニッカミュージアム
・ブレンダーズラボ
入場してすぐが「ブレンダーズラボ」。
樽によって原酒にどのような色の変化が起こるのか、樽ごとや年数ごとにボトルのサンプルが立ち並んでいます。
・ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー
次が「ストーリー・オブ・ニッカウヰスキー」のコーナー。
歴代余市だったり
歴代竹鶴が並ぶすげぇ博物館。(語彙力喪失)
他にもブラックニッカやフロム・ザ・バレルの解説もあります。
ほか、ボトルの変遷なども見られて興味深いものとなっています。
ちなみに、売店を含めここからは予約不要で侵入して見学できます。
ニッカミュージアムから向こう(設備施設側)からはツアー参加証の提示が必要になってきます。
・テイスティング・バー
ニッカミュージアムの奥地に佇んでいるのが有料試飲会場。
なんとポットスチルと背比べできます。
今現在のラインナップはこちら。
前回記事でも言及しましたがやはり「余市2000’s」や「竹鶴17年」はラインナップから外されていますね。
また、余市や宮城峡の限定品(モスカテルとかアップルワインとかノンピーテッドとか…)も並んでいません。
そういえば余市10年も…
で、今回選んだのが…
左から「余市 ウッディ&バニリック(55%)」「シングルカスク余市10年(57%)」「余市 ピーティ&ソルティ(55%)」
このクソつよ御三家です。
ひとり3杯までとかいう先入観があって3杯にとどめたのですが、後から考えたらそんな記述無かったような…?
文字数が膨大になるのでテイスティングについては別記事にて書く予定なのですが、シングルカスクはさすがに美味しかったです。
これだけのために余市蒸溜所へ来るまである。
・竹鶴イズム
テイスティングバーを出ると竹鶴政孝がどのような経緯でウイスキーを作るに至ったかを展示しているスペースへ出ます。
竹鶴政孝の半生といわず、生涯を追うことができる見ごたえのある展示です。
上の写真に写っていますが、「ニッカウヰスキー」を世に出すまで相当な苦難の連続があり、展示物上でも相当なストーリーを読んでの結実になりますので上の写真の文言を見たときはさすがに鳥肌が立ち、こみ上げるものがありました。
何度も言いますが、なんと、こちらも無料です。
何度も写真でみたことがある第一弾の「ニッカウヰスキー」。
自分が写真に収めようとするとこんなにも下手に写るのか。
他にも竹鶴政孝がどれだけリタを愛していたかも丁寧に解説されているので、スーパーニッカに込められた想いも深く勉強することができました。
スーパーニッカを見る目が変わります。
あとは不勉強で知らなかったのですが、竹鶴政孝が理想の到達点とした「余市・宮城峡・カフェグレーン」からなる本格ブレンデッドウイスキー「ノースランド」の現物も拝むことができました。
どうでもいいけどストレス溜まったときにオーロラの下で泣いてみたい。
・レストラン(RITA’s KITCHEN)
写真左が入り口です。
詳しくは公式ページでメニューとか見ていただきたいのですが、スコットランド料理中心のレストランといったところでしょうか?
どれも美味しそうです。
https://www.nikka.com/distilleries/yoichi/guide/restaurant/
で、ここでは裏技があって
レストランでなら宮城峡の構成原酒シリーズも飲めます。(¥1,800)
こちらのテイスティングも別記事にてアップしようと思います…別記事行き多いな!
今回は「北海道産真鱈のフィッシュ&チップス(燻製卵のオリジナルタルタルソース)」(¥1,100)を注文しました。
クソデカフィッシュに隠れてチップスどこ…?って感じですがころころ小さいじゃがいもを半球型にカットしたお芋が結構な数あります。
というか普通に量がすさまじいです。
あと、じゃがいもが死ぬほど美味しいです。
北海道の人たちは毎日これ食べてるってマジ?
・ちなみに・・・
はいはい
「鶴」は…無し…
アッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!?!??!?!?!?!??!?!?!?!?
ありました。
現在売店で宅配便も受け付けもしているので、売店内にある配送伝票を記入しレジに持ち込むと売店から直接自宅まで送ってもらえます。
実をいうと一度伝票を出していたので「鶴」のために別伝票を立ち上げて送料も倍払うということをしています
けれど・・・手に入って良かったよ・・・・・・・・
・竹鶴政孝像
リタハウス~旧竹鶴邸の道中に脇道があり
「竹鶴政孝翁」の胸像があります。
こちらはふつうに生前に建てられたもので、「翁」の文字を添えるのがじつに本人らしさを現している・・・
ニッカウヰスキー公式サイトに掲載されている「ニッカウヰスキーと私~竹鶴威の回想録~」の第49回「美園の丘」には
「わしが死んでも工場の中ではわしの胸像が、墓からはわしがいつでも睨んでおるから、(ウイスキーづくりで)いい加減なことは出来んぞ!」と冗談めかして言っていた政孝親父の顔が、ふと思い出される
https://www.nikka.com/80th/story/nikka_and_me/page49.html
という記述があり、実際に胸像は旧事務所(かつての社長室)から乾燥粉砕糖化発酵蒸溜混和のすべての工程の施設の方角を向いて、常に見守っていらっしゃいます。
ここについてはあまり人が来ている様子がなく、ひとりで胸像と向かい合って深く一礼することができました。
と、いうわけで目的も達成できたので蒸溜所をあとにします。
非常にたのしかったです。
・余市駅
現在時刻14:35です。
・・・6時間も滞在してたってマジ…?
・結局買ったもの
ミニチュアボトルセット(3,300円くらい)
単品販売については宮城峡、スーパーニッカ、ニッカブランデーV.S.O.Pのみで竹鶴や余市の単品販売はありませんでした。
ワンチャン竹鶴のフルボトルもあるかな…?と思っていたのですがそれ以前の問題でした。
余市構成原酒シリーズ3種(各6,800円くらい)
ウッディ&バニリックが当初なかったのですが、途中で補充されました。
蒸溜所限定品については「180mlなら2本、500mlなら1本」の購入制限がかかっています。
余市蒸溜所限定ブレンデッドウイスキー(3,300円くらい)
ニッカシングルカフェグレーン ウッディ&メロウ(6,800円くらい)
シングルアップルブランデー弘前12年とか、ピュアモルトの赤黒は一度もみませんでした。
で、「 鶴 」。(13,200円くらい)
この神々しさ、蒸溜所に行ってよかった、手に取れてよかったですわ~~!!
・えらく短い感想
行ったことない人は必ず行くべきですのよ。
製造工程を見られるのはもちろん、ジャパニーズウイスキーの開祖を紐解く資料となる非常に重要な「聖地」でした。
北海道まで行くのがまず大変で、余市まで行くのが更に大変という道中ですがきっと忘れられない思い出になるはずです。
というか年一で行きたいですわね。
かつてないほどの長い記事になりましたが、それ以上に現地でウイスキーを作っていらっしゃる方々の熱量が大きく、それに当てられて記事を書くぞ!!!という気持ちになっているのかもしれません。
今回は無料ガイドツアーを予約しましたが、時間と枠とウイスキー愛があるなら有料のツアーに申し込むことを断然お勧めします。
現在、宮城峡で行っている「マイブレンドセミナー」が余市でも開催されるようになったそうで、こちらが多分一番たのしいと思います。
とりとめのない文章になりましたが見学工程でちょくちょく感想書いていたので改めて書くことがありません!