酒飲みの用語として、「縦飲み」という単語があります。
同じ銘柄で年代の違うものを飲み比べることを言います。
ウイスキーにおいては年数表記があるので、例えばノンエイジ→12年→18年…といった具合で飲み比べていく感じです。*1
ただシングルモルトウイスキーで縦飲みをしようとすると出費がかさむのでよほど好きな銘柄でない限りはそうそう縦飲みはできるものではないと思います。
そこで比較的安価なブレンデッドウイスキーの出番です。
第8回は以前にレビューしたホワイト&マッカイの進化版。
ホワイト&マッカイ13年
WHYTE&MACKAY AGED 13 YEARS
製造元:ホワイト&マッカイ社(エンペラドール社傘下)
内容量:750ml
アルコール度数:40%
ブレンデッド・スコッチウイスキー
購入時価格:3,300円(税込み)
・・・じつは終売らしいですが依然売り切れる気配はなく、現在いろんなネットショップで売り出されています。
ただこういう「いつ見てもある」雰囲気を出しているものに限って一瞬で消え失せて二度と手に入らなくなるので興味が湧いたその瞬間に手に取っておくのが吉です。
この並行品っぽい750mlのボトルも「酒のやまや」さんで見つけたものです。
基本的に(ネタがあるうちは)終売ウイスキーは取り扱わない方向で行こうと思っているのですが、現在比較的入手が容易であるため今回取り上げることにしました。
さて、ホワイト&マッカイの特徴的な製法である「トリプルマチュアード」については前回のレビュー記事にて解説をしたので今回は省きます。
エントリーモデルの「スペシャル」の黒ラベルからうって変わってシルバー基調のラベルです。
「スペシャル」同様に「トリプルマチュアード」を大きく売り出しています。
やはりスクリューキャップ。
おわり。
・公式評
まろやかで甘いシェリー香が特徴的で、スムースな飲み口のブレンデッド・スコッチウイスキーです。
13年以上の熟成を経た原酒のブレンドにより、シェリー樽由来のウッディさと芳醇なフルーツ香が感じられます。
チョコレートやトロピカル・フルーツの甘味が引き立つ味わいです。
http://www.meidi-ya.co.jp/goods/alcohol/wm/wm02.html
余談だが輸入している明治屋公式ではしっかりと13年のページが現存しているが、マジの海外公式サイトには年数表記ものが一切ない。(そのかわり「マイルド」なるシェリー樽+バーボン樽の新商品の記載がある。)
・ストレートで飲んでみる
香り:スペシャルと比べてより熟成の進んだことが顕著にわかるリッチなレーズン香。
アルコール刺激もほぼない。
うっすらとバニラ感もある。
味 :驚くほどマイルドな飲み口。
樽の渋み、干しブドウの甘み。
余韻にかけてのビターさとハチャメチャが押し寄せてくる。
この香味が同時にブワっと押し寄せ、スッと消えていく。余韻はやや短い。
・ロックで飲んでみる
香り:レーズン香が膨れ上がる。
アルコール刺激も全くなくなりずっと嗅いでいたいほどの濃厚な甘い香り。
味 :芳醇なフルーティさが強化される。
樽要素は鳴りを潜めただただフルーティで甘美なひとときが流れていく。
・ハイボールで飲んでみる
味:割り負けず最後までシェリー香が持続する。
鼻腔に残る甘い余韻にうっとりする。
・総評
なるほど「スペシャル」の正統進化版だと感じさせてくれる。
香り、ボディともに分厚くなっていて、どう飲んでも折れずに”良さ”を主張してくれる。
オススメをしいて言うなら加水~ロック。加水でシェリー系特有の香りの爆発が発生する。
この価格でこれだけ癖のないシェリー香を楽しめるのなら破格だと思う。
同価格帯での競合相手はやはり「ネイキッドグラウス」だろうが、向こうはさらに入手困難なうえ定価で買えることが稀なので現在定価で買えるこっちを試してみてもいいかもしれない。
というかシェリー系ブレンデッドでエイジもの、というとこれ以外ほとんど存在しないジャンルだと思う。終売が惜しまれる。。。
で、13年を飲んでみると「スペシャル」の完成度の高さ、それでいてあの安価に驚かされる。こういうところに気付けるのが縦飲みのいいところである。
特に今回のような正統進化を歩んでいる銘柄の縦飲みだと共通するニュアンスを感じ取れ、そこから上位モデルはどれだけ進んでいるのか、何が加わっているのか、下位モデルからも光る”良さ”を感じ取れたり、いろいろと得るものがあると思った。
・所感
当たり前ですが、値段が「スペシャル」の約3倍だから3倍美味しいというわけではなくってよ!!
ただ「スペシャル」をお飲みになって、その先が知りたいですわ~!と思われた方にはうってつけだと思いますわね。
「スペシャル」は安価なのでわりかし気兼ねなくガブガブと飲んでしまいますが、こちらはぜひ腰を据えてゆっくりと香り、コクを楽しんでみてくださいませね。
上でも触れましたが、いまはまだ手に入るかもしれませんがいつ市場から姿を消すかわからない不安定なウイスキーなので手に入るうちに手に入れるのが賢く高貴な立ち回りですわよ!!
・次回
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